不具合の原因は、判定する条件の不足にあったと思います。
2時間の作業で修正可能だと思います。
今後気をつけたいと思います。」
後輩から届いた報告メールの抜粋だ。
この現場に新人のときに配属されて4年。
私が求めている4年目の技術者が書く報告メールではなかった。
私は彼を呼び出した。
「報告メールを見たよ。直して欲しい事があるんだが、分かるかい」
「はい。条件を増やして修正します」
「そうじゃないんだ。あ、いや、それもなんだが。
報告するときには、事実と、自分の考えを分けて書くんだ。分かるかい?」
「はあ。考え・・・ですか。
分かりました」
「幸い、今回の修正には時間もまだある。さっきのメールを修正して再提出してごらん」
机に戻ってPCと格闘する彼の頭の上に、?マークが見えるようだった。
15分ほどすると、?マークが!マークに変わったようだ。
私のPCにメールが届いた。
「報告したいと考えます。
不具合の原因は、判定する条件の不足にあったと考えます。
2時間の作業で修正可能だと考えます。
今後気をつけたいと考えます。」
悪いのは彼ではない。私の指摘の仕方が悪かったのだ。
さらに言うならば、先日まで彼の上司だった男は、報告に誤りがあると全てを報告者のせいにする男だった。
おのずと、報告に防衛戦を張るような仕事にならざるを得ない。
だからこそ彼は断定を避けたのだ。
だが、私は指摘しなければならない。
それが彼のためだからだ。
いや・・・彼のためだと、考えるからだ。
「言い方が悪かったな。
これは客観的事実、これは主観的な判断というように書くと、君の上司は判断がしやすいね。
読み手の立場になって書いてごらん」
「・・・はい。分かりました。やってみます」
30分でメールが届いた。
「報告します。
不具合の原因は、判定する条件の不足にありました。(恐らく)
2時間の作業で修正可能です。(遅れるかもしれません)
今後気をつけます。(気をつけてはいるのですが)」
ため息で、机の上の書類が4枚ほど床に落ちた。
さて、前回の更新からずいぶん日が開いてしまった。
ありがたいことに、その間に多くの更新へのご要望を頂いた。
次回の更新は期間が空かないようにしたい、と思う。(遅れるかもしれません)
0 件のコメント:
コメントを投稿