持ち合わせていない技術を体力でカバーしようと、ほとんど家に帰らずに携帯電話開発の仕事をしていた、7年前の俺へ。
信じてはもらえないだろうが、7年後の日本では、Appleが作った携帯電話を日本の3台キャリアが奪い合うように販売している。そう、iMacやiPodの、あのAppleだ。
携帯電話とは言ったが、ケータイとは呼ばなくなっている。電話以外の機能でコミュニケーションをし始めたから、携帯電話から電話の文字が消えて、ケータイと呼んでいた時代は消費されたんだ。
これを君に見せることが出来たなら、PDAじゃないか、というだろう。だが、そうは呼ばない。iPhoneという。
i、と付く電話機だからピンと来ただろうな。そう、君がいま使っている携帯電話の型番にもiが付いているからだ。
だけどな。i-modeには対応していないんだ。もちろん、iアプリにも対応していない。iコンシェル?iBodymo?もういい、みなまで言うな。そもそも、ドコモに対応するということだけで大ニュースになったんだ。
ああ、それからな。
赤外線通信機能もない。ワンセグもない。おサイフケータイもない。そして最新機能は、君が仕事で使っている携帯電話にも付いている指紋認証だ。
そんな物に負けるなんて、日本の携帯電話メーカーは何をやっていたんだ、と言いたい気持ちは分かるが、なにせ「大容量バッテリー搭載で2日間使えます」が売り文句になる時代だからな。徹夜している君には、なんだか申し訳なくなってきたよ。
そうそう。日本の携帯電話メーカーと言えば、NECとカシオと日立がくっついたよ。撤退したけどな。三菱電機も撤退した。SANYOは京セラに吸収された。Panasonicもいつまでやるのかわからない状況だ。
世界だってそうだ。NOKIAをMicrosoftが買収したのに、「負け犬同士」とか言われる始末。
もはや、君が知っている地図ではない。
GoogleやAppleのフラッグシップモデルは、この国にとって黒船の再来だったんだ。そう、ブラックシップ。
別に、君を絶望させたくて、こんなことを伝えたかったわけじゃないんだ。
実は7年後にまた日本でオリンピックが開催されることになってね。
7年後の俺を想像する前に、7年前の俺に伝えたいことはなんだろうと思ったんだ。
驚かせてすまなかった。
7年後の未来か。
・・・最後に君に有名な言葉を伝えて終わりにしよう。
未来へ行くならアンドロイドを待て。
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