2014年4月23日水曜日

オバマ大統領来日報道を見て、やっぱりテレビに失望した。

目を覚ますと、壁掛け時計が止まっていた。
仕事に行く準備をしようにも、いま何時か分からないのは不安でテレビの電源を入れた。
朝の情報番組をやっていた。
今夜オバマ大統領が来日することに関連した報道のようだった。

カメラマンを携えたアナウンサーの女性が東京駅のコインロッカーで通行人の方に声を掛けた。
「オバマ大統領の警備の関係でコインロッカーは全て使えないんですよ」
通行人の方が答える。
「え!そうなんですか!?それは困りました・・・でも仕方ないですね」
カメラは右にパンし、アナウンサーの声がする。
「ご覧のように荷物の一時預かりは長蛇の列です!」

シーンが代わり、羽田空港。ジュースの缶を持った男性が遠巻きに映っている。
「あー、男性が缶を捨てようとしていますが、ゴミ箱は全て封鎖されています。あ、いま、諦めたようです」

スタジオが映る。司会者がコメンテーターに話を振る。
「買い物のために地方から来た方などは、ホテルをチェックアウトしたあとの荷物に困りますねー」
司会者がカメラを向く。
「さて、オバマ大統領が今夜首相と向かうお寿司屋さんにも聞いてみました」

私は、朝の慌ただしい時間にも関わらず、仕事に向かう準備もできず呆然としていた。
いったいなんだこれは。
オバマ大統領ドタバタ劇でも見せられているのか?
報道機関を自負するのならば、なんのためにオバマ大統領が来日するのか、なぜ国賓対応にも関わらずミシェル夫人は来日しないのか、交渉は何が課題で、何が目標で、合格点はどこにあるのかを伝えるべきではないのか。
そうでなければ、来日が終わった後に、何を振り返ることが出来るのか。
なんの仮説も出さずにダメ出しだけするなど、子供でもできる。

寝起きで頭に血が上ってしまったが、少し冷静になれば分かることがある。
時計代わりにスイッチを入れた私などは、テレビ番組の作り手が想定するターゲットとは違ったのだろう。

有名なロシアンジョークにこんなのがある。
「ラジオには3つしかない。正確な情報と、たぶん正確な情報と、不正確な情報だ。ひとつめは時報で、ふたつ目は天気予報。みっつ目は残り全部だ」

そういえば地デジになって、遅延の関係で時報すらなくなったな。

最後に想定するターゲット外から、これだけは言わせて欲しい。
封鎖されたコインロッカーの前で取材するのは分かった。だが、しばらく封鎖されるなら事前に周知すべきこそが報道機関の仕事だ、と私は思う。困っている人を報道するなど、自らの無能さと無力さを自慢しているようで滑稽でしかない。

ああ、それから。呆然としていたら遅刻寸前になった私の事は取材に来ないように。

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