2013年10月22日火曜日

なるべく、これはやらないでおいて。

指示を出すということは、その指示と部下に対して、責任を持つということだ。
発注するということは、対価を払い、共に成果を目指すということだ。

中年の昔話で申し訳ないが、以前、こんなことがあった。

上司「これ、やっといて」
私 「期限は、いつまでですか?」
上司「急ぐんだ。なるはやで」
私 「なるはやって、なんですか?」
上司「お前、そんなことも知らないのか。なるべく早くだよ」
私 「優先度が高いということですね。理解しました。では、指示を受けてやっておりました業務を中断し、最優先で行います」
上司「いや、あれも急ぐんだ。両方なるはやで」
私 「・・・分かりました」

5分後。

私 「出来ました」
上司「なにが?」
私 「ご指示を頂いていた件、両方出来ました」
上司「早すぎるだろう!そんな時間で出来るわけない!ほらみろ、なんだこれは!」
私 「申し訳ありません。お言葉を返すようですが、5分で早すぎるということは、あなたの中には、想定される必要時間があったということです。なぜそれを指示として伝えず、なるべくというような曖昧な指示にされたのですか。私は、なるべく早くするために品質を犠牲にしました。否定される理由が分かりません」
上司「もういい!お前には頼まん!どうせ時間かけても、出来ないんだろう!」
私 「はい」

上司は正しい。
きっと私が数時間、数日かけようが、それほど品質は上がらなかったろう。なぜ私の不得意な分野をさせようとしたのか。なにか考えがあってのことか、何も考えていなかったのか、他の部署に飛ばされた上に退職したいまとなっては確かめる術はない。

さて、この経験から私が伝えたいことは3つだ。

ひとつめ。「なるはや」という指示を出す上司は、貴方の業務を管理出来ていない。管理職とは、何を管理する役職なのか、一度聞いてみると良い。
ちなみにこの質問に対し、米国では「業務」、日本では「人」と回答する管理職の方が多いそうだ。

ふたつめ。「なるはや」という指示を受けてはならない。ほぼ間違いなく、発言者の「なるべく」と、あなたの「なるべく」には、深い溝がある。落ちてケガをする前に「この業務がありますので、この作業量だと、最短で○○です。よろしいですか」と答えるべきだ。
とっさに答えられないなら、まずは自分の仕事のマネジメントから行おう。失敗しても自分で責任を取れる唯一の存在である、自分の上司になったつもりで考える目線を持とう。例えいまの会社を辞めても、自分のマネージャーが自分であることに変わりはないのだ。
なによりも、いずれ君が部下を持ったとき、誰かに発注するときに、責任が明確でない言葉を使わないクセをつけよう。不明瞭な責任は、不明瞭な組織、不明瞭な業務、不明瞭な製品しか生まない。

みっつめ。どうにもならなず押し切られたら、とぼけるしかない「え?なるはやって、なるべく早くだったんですか?てっきり・・・」
今回のタイトルにある台詞はそのときのためだ。ご自由にお使い頂きたい。ただし、その後の状況について、私は責任を持てない。つまりは、このみっつめこそが、なるはや、で。

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