「え?コンピュータ?無理無理。わかないもん」という方々が、パソコンをお買い求めになるときに頼りになるのは、家電量販店の店員さんだ。
「高速なCPUと潤沢なメモリを搭載し、最新のOSでインターネットが快適!その上大容量1ギガバイトSDカードを付けちゃいます!」
と、店頭で説明されれば、「なんのこっちゃ分からんけど、すごそう。それでインターネットできるのなら、買う」と購入される方は、決して少なくない。
このとき、店員さんは、聞けばなんでも教えてくれる。聞いた事もない専門用語を織り交ぜながら。日本の店員さんはとても優しいので、例え何も買わなくても何度でも説明をしてくれる。
お金が必要なのは、パソコンや何かの商品を持ち帰るときだけだ。とても分かりやすい。
さて、このお方。世の中にはプログラムというものを使って、コンピュータを操作できる人が居るらしいという知識を得た。店員さんもよくわからない専門用語で話していたから、そのようなものだろうと認識する。
店員さんは、行けば何度でもタダで専門用語を教えてくれた。だからきっと、プログラムとやらを扱う人も、その専門用語を使ってくれるのではないか。商品を持ち帰るわけではない、専門用語を操って貰うだけだ。そう考える。その結果、彼の口からは、
「タダでプログラムを作って」
という、プログラマにとってはザラキのような呪文が飛び出すことになる。
人は「専門用語」の前には、思考停止となるのではないかという仮説だ。
あのね。
家電量販店の店員さんがタダで教えてくれるのは、商品を売るための接客なの。
自動車販売店の方がタダで自動車の説明をしてパンフレットをくれるのは、商品を売るための接客なの。
眼鏡販売店の方がタダで視力を測ってくれるのは、商品を売るための接客なの。
あなたは、お隣に引っ越して来た方がお医者さんだと分かった途端に、玄関先で身体の不調を相談するのと同じ事をしようとしているの。
え?お医者さんとプログラマじゃ全然違うだろって?
そんなことないの。
両方とも、お客様の前で「専門外です」って言えないんだから。
やだ、目からウオーターフォールが。
なお、この方が数週間後に「なんかメモリーがいっぱいですとか表示されて写真が撮れないんだけど」と再来店するのは目に見えているが、それはまた別のお話。