2015年6月5日金曜日

だから機械を信じるなと。

「はいっ、というわけでね、がんばって侵略せなあかんなー、言うてるとこなんですけど」
「いやしかし、ずいぶんと青い星だね」
「青いですねー。まだ侵略されてないあたり、まさにブルーオーシャンですね」
「お、コンサルタントから聞いて覚えたような言葉使うね」
「さて、お仕事お仕事」
「どんな生き物がいるのかね」
「前回みたいなことがないといいですね」
「やめろ、早く忘れたいんだ」
「忘れたくてもあれは・・・お、異星文明解析装置の結果が出ましたよ」
「どうだ、奴隷に有望な生命体はいそうか」
「この星で一番進んだ文明をもっているのは、70億匹ぐらいいる種族ですね。文明レベルは15です」
「15か。奴隷にするにはまだ教育が必要だが、許容範囲だな」
「生活様式を見てみますか。1億2千万匹が集団を形成している島をリアルタイムで見てみます」
「おっと、うじゃうじゃいるねえ。集団とは言え集まりすぎだろう。・・・ん?」
「どうしました?」
「集団で動いている1匹1匹が、それぞれ小さな光る板を中心に動いているようだが」
「ええ」
「どっちだ」
「何がです?」
「どっちが本体だ?」
「異星文明解析装置の結果によると、二足歩行している有機生命体よりも、あの小さな光る板の方が計算能力が高いと出ています。また、記憶容量と正確さ、電波を用いた情報伝達の速度と正確さにおいても同様に、小さな光る板の方が優秀です」
「ということは?」
「あの小さな光る板が本体です。この星の文明の頂点でしょう。二足歩行している有機生命体は、小さな光る板に表示される指令に従って動いているだけです」
「あの二足歩行しているものは、乗り物だということか。どおりでバリエーションが多いとは思った」
「そのようですね。実際問題、小さな光る板がなんらかの理由で光らなくなると、二足歩行している乗り物は右往左往してしまい、なんとかしてもう一度光らせようとするようです」
「珍しい文明だな」
「てっきり、二足歩行の有機生命体が、便利でスマートな道具を開発したのかと思っていましたが」
「あの小さな光る板の方が、二足歩行の有機生命体を操っているとはな」
「どうします?連れて帰りますか?」
「こき使うと数時間で暗くなるような小さな光る板が、我々になんの役に立つと言うのだ。今回も外れだ。次の星に行くぞ」
「分かりました。前回みたいになってもいけませんしね」
「だから前回の話はやめろ。10本も足を持って行かれた方の身にもなれよ」
「そういえばさっきの青い星の海中に、10本の足がある白い生物がいましたよ。文明レベルは2でしたけど」
「文明レベル2?ただの下等生物じゃないか、一緒にするな。お前だって一緒にされたくないだろう」
「ええ、いかにも」

※初出で文明レベル2の生物の足を7本としていたのは、対象が地球ではないという暗喩でしたが、「そんなもんわかんねーよ。イカの足の数を間違えているようにしか見えねーよ」という的確なツッコミを頂きましたので、改めて10本に修正いたしました。修正したら地球の話になっちまったい。